社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
‘わ、たし’なんて言ったからか一気にシーンっと静まり返った。
――そんな時。
「優子ぉぉおお!」
助け船の様に青葉が声を出した。
「ちょ、いいとこで!」
「林いい加減にしろよ〜。親友がからかわれてるからって」
「あのさ!変に盛り上がってる時に悪いけど優子の携帯さっきからずーっと鳴ってるの。だから優子を返して」
ほら、と青葉は私の携帯を持ち上げた。
青葉から携帯を受けとり待受画面を見れば着信履歴が8件という文字。
「えっ」
それを確認すると着信履歴全てが拓斗さんからだった。
どんな内容か分からないのに拓斗さんの身に何かあったのかも、と思ってしまい手がぶるぶる震えだす。