社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「串田さんなんて…?」
「とりあえず早く行きな。ダーリンとの愛の巣まで送るから」
愛の巣という言葉にも突っ込めない。
「病院じゃないの?」
「うん」
「けど拓斗さん倒れたって…」
「あー、だからあんなに謝ってたのか」
よく分からないけど、病院じゃなくてマンションに拓斗さんが居るならそんなにって事?
でも、倒れたと言っていたから健康元気ではないのは確かで。
――早く早く戻らなきゃ。
「んじゃ、帰るよ!」
青葉は私の腕をぐいっと掴みそのままスタスタと障子を開けた。
「私、一人で帰れるよ」
「いいの!」
「でも…」
「ずべこべ言うな!ほら、とりあえずタクシー拾うよ」