社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
拓斗さんに掴まれた腕がとても熱くジンジンする。
「大袈裟だ。救急車なんて呼ばなくていい」
「でも…」
「薬がある」
「どこにありますか?」
私の腕を掴んでない方の手で書斎デスクを指差した。
「ソコにあるんですね?取ってきます」
「……」
「あの〜、拓斗さん?取りに行くので手を離してもらっていいですか?」
掴まれたままだと取りにいく事が出来ない。
ベッド真横にその書斎デスクがピッタリ置いてある訳じゃないから、掴まれたままだと薬を取りに行けない。
「あぁ」
ゆっくり腕をはなしてくれた拓斗さんにホッとしながら。
「タオルとミネラルウォーターも取ってきますね」