社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
□Home-made dish
「拓斗さん、何時頃に帰ってきますか?」
大きな欠伸を掌で隠しながら、靴箱から靴を出している拓斗さんに聞くと。
「詳しくは分からない」
「そうですか…」
「あと」
あと、と言った拓斗さんはくるりと周り私と向かい合う体勢になり、拓斗さんが腰を曲げた事によって私と目線が同じ高さになった。
――えっ。
もしかしてこれってまさかのアレなのかな?
ドキドキしながら拓斗さんを見上げる。
「優子」
「は、い」
ゆっくりゆっくりと顔を近付けてくる拓斗さん。
うわ、うわっ。
「―…しなくていい」
「へ」
「これからは見送りしなくていい。お互い面倒になるだけだろ?」