社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
スタスタこっちへと歩いてくる拓斗さん。
そして立ち止まった拓斗さんは私の前に置いてあるテーブルに視線を向けた。
「串田…。優子は珈琲が飲めない。今すぐ別の物を用意しろ」
「え」
「俺の秘書ならそれくらいちゃんと覚えとけ」
串田さんに視線を向ければ、少しだけ目を見開いていてビックリしているのが分かる。
私の所為で串田さんは拓斗さんに怒られてしまった…
「大変申し訳御座いません」
私は違うんですと頭を横に振る。
「私が悪いんです」
「優子?」
「私が飲めるって言いました」
「飲めるのか?」
飲めませんともう一度頭を横に振る。
「まあ、理由はどうでもいい」