社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
そう言って踵を返した拓斗さんを呼び止める。
どこか行ってしまう前に早く渡さなきゃ!と鞄の中から包まれたお弁当を取り出す。
タッパだって事はわからないよね。
「これ作ってきました。良かったら…、迷惑でなければ受け取ってください」
朝の‘いってらっしゃい’も面倒だからと言ってきた拓斗さんだから、もしかするとこういうお弁当も嫌がる可能性大。
「あ、あぁ」
けれど、お弁当を受け取ってくれた拓斗さん。
要らないと言われなくてホッとした私はついつい…
「これお弁当箱に見えます?」
と聞いてしまった。
きっちり包んであるからタッパだって分からないと思うけど、やっぱり気になってついつい。