社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
このまま見に行こうかな?
ここから少し移動すれば雑貨屋さんがあるし。
「それじゃあ、拓斗さん。お仕事も頑張って下さい!」
邪魔にならない内に早く帰らなきゃいけない。
けど一つだけ質問をさせてもらおうと扉の前で立ち止まった。
「夜ご飯のリクエストありますか?」
「いや」
「そうですか…」
お母さんの気持ちがこの頃分かる。
夜ご飯のリクエストを聞かれなんでもいいと言うと、困ると言っていたお母さんの気持ちがすごく分かる。
「串田さんもお仕事頑張って下さい」
「ありがとうございます。下までお送りしましょうか?」
「ひとりで平気です。なので、気にしないでください。お邪魔しました――…」