社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「相談か」
「はい。相談です」
「分かった」
分かったと呟くように言った拓斗さんは背広を脱ぐとソファーの背凭れにかけ、そのままソファーに座った。
「今ですか?」
「今じゃ駄目なのか?」
「そんな事はないですけど」
拓斗さんが聞いてくれるのはご飯後とかお風呂から上がった後とかだと…
いきなり聞いてもらえるとは想像していなかった。
「あの、ですね」
「あぁ」
「お礼ってどうしたらいいんですか?」
そう言いながらエプロンのポケットからメモを出す。
「お礼?」
「助けてもらったんです」
「何かあったのか?」
拓斗さんはネクタイを緩めてた手を止めた。