社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
なんて悩んでいる私の横で、卓土さんは立ち上がり鈴木くんに挨拶をしていた。
「あ、どうも」
「君は優子ちゃんの同級生?」
「中学の」
「へぇ〜、中学生の優子ちゃんは嘸かし可愛いだろうね」
ちょ、卓土さん…?
「中学生の優子ちゃんかぁ。君君、優子ちゃんのセーラ服姿の写真持ってたら頂戴?」
「た、卓土さん!」
変な会話をする卓土さんに思わず大きな声を出してしまい、そして――
「可愛くないです。今の私を見てれば分かるはずです!」
さっきと同様大きな声で言えば卓土さんはクスクスと笑い出し、鈴木くんは顔を引き攣らせている。
「ごめんなさい」
「わりい。仲間に呼ばれたからもう行くわ。またな」