社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「そうか」
「はい。すっごく大好きです」
そうか、と拓斗さんはもう一度そう言って目を少し細めた。
それを見た瞬間胸がドキドキと――
だけどすぐ目尻に出来た皺は消えていつもの拓斗さんの顔に戻る。
これが拓斗さんが時より私に見せてくれる最高の笑顔。
「寿司は2、30分で届く」
「2〜30分ですね。分かりました」
あぁ、と頷いた拓斗さんはそのままキッチンに向かっていく。
その間も私の胸は高鳴り続けている。
「どうした?」
すぐにキッチンから戻ってきた拓斗さんが不思議そうに言ったのは、きっとそれは私が胸に手を当てたまま立っているから。
「な、んでもないです」