社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
馬鹿かも、私って。
拓斗さんが私を好きにはならないのに、こういうのが無謀な恋って言うのかな?
「はぁ」
それを分かっていても好きになる気持ちをコントロールなんて出来きない。
思わず吐き出す溜め息。
「優子」
「なんですか?」
「今日は誰に会いに行ったんだ?」
えっ。
「友達です」
「……」
「あの、拓斗さん?」
「そうか」
そうか、と言った拓斗さんは風呂と言ってそのまま出ていってしまった。
その日――
拓斗さんはお風呂から上がるとそのまま部屋に直行してしまい、私が帰ってきた時に言っていた事があると言っていたはずなのにそれを聞く事はなかった――…