社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「うん。拓斗さんを待っていよう…」
私は拓斗さんが夜までに帰ってくると信じる。
拓斗さんが帰ってくるならいつものように一緒に夜ご飯を食べたい。
一緒に夜ご飯を食べると言ってもほぼ拓斗さんとは話したりはしないけど、拓斗さんが前に居るという事と拓斗さんが私の目の前で食べている。
そんな2つだけで私の気持ちはとても満たされるから。
「とりあえず、消毒しなきゃ」
包丁で切ってしまった指を見て苦笑い。
これくらいの傷で済んで良かった。
位置が数センチずれていたり深さがこれより数センチ深かったらと思うと…
ちょっと切って血が出た程度でもそれだけでも私は結構痛いと感じる。
だから、これ以上だったらとどうなるかと想像するだけでも冷や汗が。