社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
それと同時に、私の頭と耳がそのバイブレーションに合わせ震える気がする。
なにこれ…、すっごく気持ち悪い。
「これはなんですか?」
「どういう事だ?」
「揺れとバイブ音です。ブーッブーって聞こえますよね?」
なんて問われた拓斗さんは動きを止めてから、辺りを見渡してから首を傾げた。
「聞こえないが」
「嘘」
「嘘ではない」
そして、ハァと溜め息を吐いた拓斗さんは私の顔をジーっと見つめた。
「したくないならそう言ってくれ。無理強いでするもんじゃない」
キスは…
私はした事がないから、今すればファーストキスのお相手は拓斗さんになる。
恥ずかしいけど…、と私は俯きながら口を開いた。