社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
夢だと分かったのに今でも私の胸は高鳴り続けていて、現実だったのかもしれないと疑うくらいに残るリアルな声と、そして不思議な感触。
「ハハハ」
なんか情けなくて笑える。
全く感情が込められていない笑い声が悲しいほどにリビングに響く中、また寝たら続きが見えるよ!と何かで聞いた台詞を思い出す。
もし今すぐ寝たら夢の続きが見れるなら私は絶対に寝ない。
夢の中では幸せだけど覚めた時のこの切なさに耐えれないし、もう二度と夢であんな事は言ってほしくない。
「っていうか今何時?」
寝てる間も握り続けていた携帯を見る。
きっとこれだ…
この携帯の仕業だったんだ。
夢の中のバイブレーションも震えも、耳元で携帯を握ってたからだろう。