社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
そんな2人が顔を合わせればいつ修羅場になっても可笑しくなくて。
――と言っても私はそんな事はしたくもないし、何かを言う事すらもしたくないけど。
「どなた?服装からして社員ではないではないみたいだけど」
そうよね?と、私の頭のてっぺんからまじまじと見て首を傾げる拓斗さんの愛する人。
「もしかして串田さんの妹?」
「私は一人っ子ですので違います」
ギュッと握ってる串田さんのスーツに力を込める。
これは私なりのアピールだ。
他には何も言わないで下さいという気持ちを込める。
「ちょっと失礼」
そう言い初瀬さんは携帯を耳に当てる。
良かった…
今の内に逃げてしまおうか。