社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「拓斗」

「社長」





串田さんと初瀬さんがほぼ同時にそう言うと私の身体はカッチカチに固まる。


どうしよう。


勿論、私の存在は拓斗さんにバレているよね…?





「優子」





ほら、バレてる!


最悪の状態に目眩がしてくる。





「え、優子?」





初瀬さんはかなり驚いたのか目を見開きパチパチと何度か瞬きをした。


もしかしなくても初瀬さんに気付かれた…?





「どうしたんだ?」





と言いながら私の背後にいた拓斗さんが私の肩をグイッと後ろに引っ張った。





「うわ!」





いきなりの事で驚き、バランスを崩した私はグラッとそのまま後ろへ尻餅をつく体勢になる。



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