社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
私だってプライドは一応ある。
どう答えればいいか分からずにえっととあのを繰り返していると、‘すみません。いいですか?’と串田さんが口を開いた。
「奥様がいらっしゃったのは」
私の為に助け船を出してくれた串田さんはやっぱり天使、いや、神様だ。
「いい。串田は口出しするな。優子に聞いた訳で串田には聞いてない」
拓斗さんが冷たく言い放った瞬間。
ぷっちんと、私の中で繋ぎ止められていた何かがぷっちんと音をたて切れた。
「拓斗さんが悪いんじゃないですか」
「優子?」
「朝になっても帰ってこないから私に届けられる羽目になるんですよ。それが、嫌なら…。私に届けられたくなかったら外泊せずちゃんと帰って来て下さい!」