社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
もごもごしてたのにいきなり声を荒げた私を見て驚くのは当然だ。
しかも、かなり早口だったし。
「引き留めたのは私なの。本当に昨日はごめんなさいね?」
申し訳なさそうに私に謝ったのは初瀬さん。
「ごめんなさい!」
今謝ったのは私。
だって、よく考えればここにいる人の中で一番悪い存在は私。
初瀬さんの本来の居場所を奪った私が悪いんだ。
「で、ていきます」
唇が震え出す。
「拓斗さんとは別れます、から初瀬さんは何も気にしないで下さい。ちゃんと2人の関係くらい私は知ってますから」
私は言ってしまった。
1番言いたくなかったはずの言葉を――…