社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「これ美味しいよ」
「ありがとうございます」
卓土さんから缶を受け取る。
卓土さんに連れられやってきたのは自販機がある休憩室みたいな所だった。
勤務時間だから卓土さんと私以外は誰も居ない。
「大丈夫ですか?」
「へ?」
「お仕事中なんですよね…」
そうだよね〜、と言いながら卓土さんは私の隣に腰を下ろした。
「仕事なら大丈夫」
「でも…」
「本当本当。短時間くらいへっちゃら」
温かい缶を掌で包み込む。
「ねぇ、優子ちゃん。何があったか聞かないけどもっと俺の事を頼ってほしいな」
頼りにしてる。
私は充分卓土さんの事を頼りにしてるよ。