社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



一先ず落ち着く為にも卓土さんがさっき買ってくれた缶の紅茶に口をつける。


ホットだという事を忘れてグイッと飲んでしまった私は――





「熱っ。ゴホッゴホッ」

「大丈夫!?」





自販機から出して数分たっていたから多少は冷えてたかもしれないけど、通ったところが焼けるように痛い。





「これ冷たいから飲んで!」

「すみません」





卓土さんが飲んでいた缶を受け取る。





「んっ」





冷たいけど、これって…





「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」





ブラックコーヒー…


私は噎せながら鞄からハンカチを探す。





「今、水買うからちょっと我慢してね」

「だ、い、大丈夫ですっ」



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