社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
リビングに妙な空気がながれ、いっそのこと逃げ出そうかと考え出した時。
{プルルルルプルルルル}
固定電話が鳴り響いた。
その呼び出し音が今の私にはこの着信音が救世主に思え、拓斗さんから逃げるように固定電話へ向かう。
「はい、飯田です」
あの時とは違いもう名前を間違わないで電話に出れる。
『もう間違わないのね』
「あ、お義母さん」
お義母さんとの電話も二日振りだ。
『ごめんなさいね。でも気になってしまって』
「何をですか?」
『シチューよ。拓斗がどんな反応をしたのか昨日から凄く気になっていたのよ』
お義母さんははっきりとウキウキしてるようにそう言った。