社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「1番分かってるはずです…」
「優子?」
「拓斗さんが1番分かるはずなんです!」
そう強く言い放ち拓斗さんを見上げる。
キッと拓斗さんを睨む事は初めてなのに、今の私には怒りと苛々しかないから睨むという行為に戸惑いはなかった。
「関係を知っているんだろ」
「知ってますよ」
「それなら…。どうしてそうなるんだ」
初めて。
拓斗さんがかなりの馬鹿なんだなと思ったのは。
「不貞腐れるな」
全くと言わんばかりに拓斗さんは深くて長い溜め息を吐き出す。
「いいか?」
「何がいいかなんですか」
「俺は優子と別れる気ない因って離婚もしない。これまで通り俺と優子は夫婦のままって事だ」