社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
そう言った私は居た堪れなくなり力一杯振り絞って、未だに拓斗さんに掴まれてる肘を振り払い、自由になった腕をじっと見つめた。
「違う」
「何が違うんですか」
「優子は何も分かってない。元カノは合ってるが未練なんてものはない」
拓斗さんの嘘つき。
私があの現場を見てた事を知らないからそんな嘘をつくの?
「昨日、見ました」
「昨日?」
「初瀬さんと会っていた所を見ました」
それでもしらばっくれますか?
「見ていたのか」
「もうバッチリと見ました。の目で見ましたけど?拓斗さんが初瀬さんにキスした所まで」
それに抱きしめてましたよね!と付け足して言えば拓斗さんは目をおっきく見開いた。