社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「社長がこの階におられるとは珍しい。今日は偵察ですか?」
さっき卓土さんも拓斗さんにそう言ってたけど、拓斗さんが居るのはそんなに珍しいの?
って、あれ…?
そういえば拓斗さんの事で頭がいっぱいになっていたけど、元はといえば――
「あ!」
卓土さんとちゃんと話していない!
今から戻っても大丈夫かな。
「社長の後ろに誰か?」
「あぁ」
また引っ張られたと思えば私の肩に腕をまわした拓斗さんは。
「紹介する。俺の妻だ」
「妻!?」
突然の紹介にビックリした私はどうすればいいのか分からず、一先ず前に居る人を見てみると私と同じくらい絶句してるスーツを着た男の人がいた。