社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
あ、そっか。
拓斗さんもう車に戻ってきたんだ。
「お帰りなさい」
拓斗さんに笑いかけながらなんだか唇が乾燥してる気がして手の甲で拭う。
「俺はずっとここに居たが」
「でも、サービスエリアで」
「何時間前の事を言ってる?」
何時間…?
「もう冗談は通じませんよ〜」
拓斗さんはああ見えて冗談好きらしい。
また拓斗さんを知れちゃった!
でも、さっき引っ掛かったけどもう冗談には引っ掛かりませんよ!
「まだ寝ぼけてるのか」
「寝ぼけるなんて…。ただ少しうとうとしてただけです」
そう、うとうと。
拓斗さんが戻ってくるまでの間に少しだけ。