社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「これはこれは飯田様。お待ちしておりました。いつもご贔屓感謝しております」
拓斗さんがロビーにいたおじさんと話し込んでる間、私は拓斗さんの真後ろに立ちキョロキョロと煌びやかなロビーを見渡していた。
外見も凄かったけど旅館の内装もとっても豪華。
「この度はおめでとうございます」
クイクイと裾を引っ張られた私は拓斗さんに視線を向けた。
「優子」
「はい」
「この方がここの支配人の八重さんだ。八重さんと親父は日頃から仲良くしていて今回も無理に融通を利かせてくれた」
八重さんをよく見てみれば旅館と同じくらい貫禄のある人だった。
「そうなんですか?お礼しなきゃいけないですね。八重さん、初めまして」