社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
早く見たいな〜
今にもニヤニヤしそうな私はチュニックの裾に手を伸ばした。
「いっ…」
チュニックを脱ごうとした時、ズキッと重たい痛みが私を襲った。
その痛さに顔を歪めながら裾に伸ばしていた手を痛みがあるお腹の中心部へと動かす。
なんだろう?と痛みの理由を考える前に脳裏を過る三文字の言葉。
「もしかしたら…」
そのもしかしたらが当たっていた私は肩を落としながら大浴場を楽しむ事なくポーチと浴衣を持って廊下を歩いていた。
折角だから部屋で浴衣に着ようかな。
「奥様、どうでしたか?」
そんな声が聞こえて振り返る。
普段串田さんにそう呼ばれるから‘奥様’という言葉に反応してしまう。