社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



私が振り向くとそこには八重さんが居た。


どうでしたか?というのは私の背後にある暖簾の向こう、大浴場の感想を聞いているはずで。





「はい。凄く素敵でした」





わけありで入れませんでしたとは言えないから笑顔でそう言った。


それに素敵なのは事実。


とっても素敵な脱衣場だったし。





「そう言って頂け安心致しました」





それから少し八重さんと話し込んでから部屋に戻った。


お肌もつるつるのほっかほかでこうしてここへ戻ってくる予定だったのに、仕方ないと思っても悔しい悔しい悔しい!





「うー」





ばふっとベッドに倒れ込む。


旅館やホテルの独特ないい匂いがするシーツにお布団が鼻を掠める。



< 459 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop