社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
□Iida Corporation
「行こうか」
「でも、やっぱり、あの…」
「優子さん?何も遠慮する事はないのよ」
――ことの始まりはお義母さんと電話でした会話。
拓斗さんの会社はどんな感じですか?そう軽くお義母さんに聞いた私にお義母さんはわくわくしたようにこう言った。
‘拓斗の驚く顔が浮かぶわ’
その時はその言葉に理解出来なかったけど、後々聞いた説明によればお義母さんはそう言った私の言葉をお義父さんに伝えたみたいで私の知らない間に色々決まったらしい。
私が拓斗さんの会社に行くという日時が。
「ふふ、緊張しているの?」
「はい」
そんなこんなで今日はその決行日になってしまい、どうすれば良いのか分からないまま。
私はお義父さんの車の後部座席に座っている。