社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「どうした?風邪引くぞ」
「うひゃ」
突然ポタリと雫が肘に落ちてきたのにビックリし、変な声を出してしまった。
「拓斗さん…」
いつ上がったんだろう?
ドライヤーは使ってないみたいでポタポタと前髪から水滴が落ちている。
風邪引くぞ?ってドライヤーを使わない私に注意する拓斗さんが使わないなんて。
「乾かさないんですか」
「あぁ、忘れた」
忘れた?
完璧主義者の拓斗さんも忘れたりするんだ…
「私、ドライヤー持ってきますね?」
っていうか持ってきたいです!
私は拓斗さんの横を通り過ぎドライヤーを取りに脱衣場に行くと、温泉の匂いと檜のイイ香りが充満してた。