社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
でもこんなチャンス滅多にないよね。
拓斗さんの隣で寝られるチャンスなんてまずない。
だから…
「失礼しまーす」
そう言いながら布団を捲り横になり、広々としたクイーンベッドの端っこで身体を出来るだけ丸めた。
丸めた理由は一つ。
拓斗さんの睡眠に邪魔にならないように。
「何故そこに居る」
「私、昔から寝相が悪いんです。だから出来るだけ小さくなってます」
拓斗さんの顔を蹴ってしまったり、拓斗さんを突き落としてしまうかもしれないし。
「気にしない」
「私が気にしま――」
突然、背中に何か暖かさを感じて思わず口をぎゅっと閉じた。
この暖かさはなんなのか私でも分かる。