社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
まさかこんな展開になるとはこれっぽっちも思ってなかった。
私はほんっとーに軽い気持ちで冗談を言ってしまっただけなのに。
「俺は…」
「はい」
「優子の事が、実は」
拓斗さんの本音を聞ける!
そんな気持ちと同時に怖さも芽生えてくる。
拓斗さんは私を好きと言ってくれたけど、今もその気持ちでいてくれてるのかな?
「いや、違う」
「拓斗さん…?」
「‘実は’は要らない」
あぁ、そういう事か。
いきなり違うとか言ったから何事かと…
「好きだと言ったのは覚えてるか?」
「勿論覚えてますよ」
忘れる訳がない。
素敵な言葉を忘れる訳がないの。