社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「あれは忘れてくれ。ああ言ったのは俺の本音ではない」
なっ、なんで…
本音じゃないのに好きと私に言ってくれたなんて拓斗さんは可笑し過ぎるよ。
「嘘じゃ、ないって…っ」
「優子」
「言ったじゃないですか!」
私を好きだと言ってくれた後に拓斗さんは嘘ではないと言ってくれた。
だから、私は素直にその言葉を信じれたのに。
それが拓斗さんの本音だと思えたから。
「ひどい」
「聞いてくれ」
「ひどいひどいひどすぎます!」
ゆらゆらと揺れる視界の中で枕を掴み拓斗さんに投げつけた時、拓斗さんと入籍した翌日の朝がフラッシュバックした。
今の私の気持ちはあの時にとてもとても似ている。