社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「元々、性に合わないんだ」
「性?」
「柄とも言うが…。だがそんな俺は優子と出会った日からそんな性も柄もかわれると知った」
それはどういう事だろう?
今の私の頭の中にはハテナマークがいっぱいだ。
「以前言った言葉を覚えているか?」
「なんて言葉ですか?」
「言った方がいいと思ってるが俺の性格上伝える事が出来ない、と」
私はコクコクと頷く。
「でも今は違うらしい」
ベッドに寝そべったままの私の頭に拓斗さんはゆっくり手を伸ばした。
それは泣きじゃくる赤ちゃんをあやすみたいで、頭を優しく撫ではじめた拓斗さんの表情は私が見た中で一番素敵な笑顔で、その素敵な笑顔のまま拓斗さんははっきりとこう言った。