社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
高級スーパーに私立の幼稚園に高級住宅街に曲がればブティック街。
ぶらぶらしてつくづく思う。
今まで以上に拓斗さんは凄い会社の社長さんだって。
だってそうでしょ?
こんなに良くて高そうな立地にあんな大きなビルを構えているんだから。
「こら待ちなさい」
「やだも〜ん」
「転けてもママ助けないよ」
小さな男の子が前を見ずに走ってくる。
――あっ!
あっ!と思った時には私の足に軽く小さな衝撃が走った。
「ご、ごめんね!大丈夫?」
咄嗟にしゃがみ込み尻餅をついてるその小さな男の子の頭を撫でる。
「ふぇーんふぇーん」
「本当にごめんね。ぼんやりしてたから…。怪我してない?痛くない??」