社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
私にそう教えてくれたお義母さんは、挨拶をしてくれた周りの人達に笑顔で挨拶を返し始める。
「おはようございます」
「ふふ、おはよう。今日は天気がいいわね」
私はどうすればいいか分からず小さな声で挨拶はしていたものの、ずっと私の横に居てくれてるお義母さんにすらその声は届いてないはずだ。
「凄いですね…」
エレベータの中で私は思わずそう声に出して言った。
「優子さん」
「はい」
「私の事を見直してくれたかな?」
見直すって。
見直すもなにも…
「お義父さんは完璧過ぎなので見直す所なんて一つもありません」
「……」
「寧ろ、欠点を見つけたいくらいです」