社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
なんて言えばお義父さんとお義母さんが笑い出して、もしかして欠点は失言だったかなと焦る。
―――チンッ―
そんな音をたてて、エレベータの扉がゆっくりと開く。
「おりましょう?」
ぼうっとしてた私は急いでエレベータからおり、お義父さんとお義母さんの後を追う。
「主人は照れてるのよ」
「えっ」
「優子さん可愛い事言うから」
「怒っている訳じゃ…」
違うわよ、とお義母さんは微笑む。
良かった…
「会長」
「お、串田くん」
串田くんって…
拓斗さんが言ってたあの‘串田さん’の事なのかな?
拓斗さんの携帯を選んだという秘書の。