社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「卓土さん」
「うん」
「これからは私を恋愛感情としてではなく仲良い友達として好きになってくれませんか?」
優子ちゃんはやっぱり優子ちゃんだ。
付き合えないから!ときっぱり言ってほしかったのに。
「うん」
「ごめんなさい」
「うん」
これがわざと言っているならとんでもない女の子だ。
けど優子ちゃんの場合はわざとそう言ってるとは思えない。
そんな所も惚れた理由かな。
「お待ち遠様」
振られた事実に余韻に浸る前に、ワンコインAランチが運ばれてきた。
「じゃ、食べようか。冷たくなって食べるよりも出来立ての方が美味しいよ」
呼吸を整え割り箸を割る。