社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「優子ちゃん」
「……」
「ねぇ、優子ちゃん」
今すぐは無理だと思う。
ただの友達として優子ちゃんと接触するのは。
けどいつかは優子ちゃんと‘本当’の友達になれると思う。
「今度、遊びに行こうよ」
好きから好きだったに変わる時、いつかみたいに遊ぼうと誘うから。
「友達として。これからはただの友達として誘っていい?」
だから、泣かないで。
今は慰めたくてもこの手で頭を撫でることはしない。
「駄目かな?」
「駄目じゃないです。今度、遊びに行きたいです」
ぎこちない笑顔で何度も頷く優子ちゃんを見てるとやっぱり思う。
これはかなり時間がかかりそうだ、と。