社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
もしも私に少しでも勇気があれば、拓斗さんが傍に居てくれるだけで火傷なんて遠くに吹っ飛んでいきます。
なんて可愛い事が言えるのに。
「薬を持ってるのか?」
「はい」
「今までに火傷したのか」
今はまだマシになった方だけど最初の方はいっぱい火傷した。
例えば天ぷらに挑戦した時は怖くて投げるように油に入れてしまいバシャッと手足に油がかかったり、グリルに直接触っちゃったり色々と。
「黙ってるって事はしてきたんだな。ハァ…、もう優子は料理はするな」
えっ、それって…
私が駄目駄目だからもう料理はするなって事?
「……してしまう」
「拓斗さん?」
「優子の事を心配してしまう。だから料理はするな」