社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
部屋全体も匂いも拓斗さんの香りがする…
「優子、座ったらどうだ?」
そう言われてもリビングのようにソファーは置いていなく、見た感じ座れそうな所と言えば一つしかない。
「疲れてるなら横になっててもいいが」
横になっててもと言った時点で拓斗さんが言う場所はひとつに絞られる。
存在感ありありのベッドに…
「優子?」
「え、あ、やっぱり」
ここで立ってます――、っていうか一先ず出直してきたいと思います!と言おうとした時。
拓斗さんはくるりとチェアをまわしパソコンから私の方へ視線を移した。
「終わった」
「そ、そうですか。帰ってきてまでお仕事なんて大変ですね。お疲れ様です」