社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
‘夜這い’
拓斗さんの口から出たそんな言葉に思わず目をこれでもかと見開いた。
夜這いという言葉をどういう時に使う言葉かなんて、私でさえもそれは分かる。
「優子は知らないのか?」
「え」
「俺に呼ばれたからと言って夜風呂上がりに部屋に来る危なさを」
それは…
「少しは危機感を持った方がいい」
どう言い返せばいいか分からず私は口を噤んだままで何も言えない。
「あぁ、あと一つ。悩んでるようだがスキンシップはいつでもしていい」
どうして。
なんで、スキンシップの事を?
「只し忠告を一つするとするなら、優子の考えるスキンシップはどこまでを意味するか知らないが――」