社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「俺は抑えるつもりはない。だからスキンシップするのは構わないが、それなりの覚悟でしてこい。それが嫌なら今すぐに出た方がいい」





どうする?と言わんばかりに拓斗さんは立ち上がりベッドにゆっくり腰かけた。


どっちにしろ…


どっちにしろ動かなきゃ。


そう頭の中では思っているのに両足がピクリとも動こうとしない。





「あ、の」





唇が微かに震える。





「大丈夫だ」

「拓斗さん…?」

「俺は何も怒ってない。少し今の言い方がきつかったな。すまない」





そう言った拓斗さんは私の見間違いかもしれないけど何だか悲しそうに眉を少し下げた。


そんな拓斗さんを見た瞬間、ピクリとも動かなかったはずの両足が何かから弾じけたように動き始めた。



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