社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「拓斗さん…」
「今は俺だけを感じればいい」
よしよし子供を慰めるかのようにの頭を優しく撫でてくれる拓斗さん。
このまま寝てしまいたい…
けど、寝ない。
もっと拓斗さんを感じるために。
「感じたい、感じます。拓斗さんだけを感じたいです」
私の頭を撫でている手が止まった。
あれ、拓斗さん…?
「優子…」
「なんですか?」
「今のは無意識なのか」
それってどういう事?
「まあ、いい。それに応える事にしよう」
微笑んだ拓斗さんの顔がゆっくりとゆっくりと近付いてくる。
近付く理由はなにかなんて考える事なく私は反射的に瞼を下ろした。