社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
奥様の言った言葉を纏めると、考え事をしている内にエレベーターは地下に向かっていた。
そのエレベーターには奥様の他にひとりの女性。
その女性が地下でおりた時にスカートからハンカチが落ちてきた。
そのハンカチを拾い渡す為に追ったら、奥様は見てしまったらしい。
「……遅かったな」
頬杖をついた社長がこちらを見る。
「奥様と立ち話を」
「まだ優子が居たのか?」
「えぇ、赧らめておりました」
‘赧らめた’
そんな言葉を発言した途端、社長の顔色がガラリとかわり突然チェアから立ち上がった。
「社長?」
「お前、優子相手に何をした?」
社長は本当変わってしまった。