社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
無駄な時間と思われるかもしれないが俺はそうは思わない。
あまり他の社員と関わらない分こうする事で多少は社内のちょっとした現状を知る事ができ、何かあれば対処したい。
それが飯田が利益を得るならとくに。
「持ちますよ」
「でも…」
「遠慮しないで。ついでですから持ちますよ」
女性にこんな重量がある物を持たせるとは仕事とは言え男共はどうなってる。
「新人さん?」
「はい…。今年の春に入社してきました」
道理で扱き使われている訳だ。
「あの社長秘書の串田さんですよね?」
「ええ、そうですよ」
「話すことが出来て嬉しいです。串田さんの入社式のスピーチとても素敵だったので、あたしそれをずっと伝えたくて…」