社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「それに格好いいし」
「……」
「ごめんなさい。あたし、何を言ってるんだろう」
半ば強制的にさせられたスピーチ。
あの日以来特に女子社員から驚く程に好意を持たれやすくなり、告白や誘われる事もそれなりに。
無論だからと言って手当たり次第に手は出さないが、好意を持たれる事は喜ばしい事。
「ここでいいかな?」
「はい。わざわざありがとうございました」
段ボールを渡し返す。
「今度お礼させて下さい」
「じゃ、君も仕事頑張って」
そう言い歩き出す。
ここも一応‘営業部’になるが佐渡が所属しているのはこの隣だ。
他の企業や他社でもあるようにうちも営業部は何課にわかれている。