社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



馬鹿ですね、か…


確かにそうかもしれないな。





「分かってる」





俺は馬鹿な男だと付き足せば串田は呆れたように溜め息を吐いた。





「はっきり申し上げれば情けないです」

「あぁ」

「それにですよ?もしも私が社長の立場なら奥様が働くとおっしゃれば応援します」





そうあっさり言った串田の回答に思わずグラスに伸ばした手が止まる。





「心配しないのか?」

「もしや他の男に取られるのでは、と考えでも?」





あぁ、と頷けば串田は声をだし笑った。





「その心配は無用ですね」

「なぜだ?」

「職場でいい男があらわれようが奥様はそちらには見向きもしませんよ。この世に社長以上はいらっしゃいませんからね」



< 605 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop