社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「いいの?」
「使っちゃって使っちゃって」
「あ、ありがとう」
青葉から妊娠検査薬を受け取ると、本体は軽いはずなのに私にはとっても重たく感じた。
「ダーリン、優子ファイト!」
やめてよ!と言いながら箱に書かれている文字に視線を向けた。
へぇ〜、2回用とかもあるんだ…
てっきり私は一箱に1本しか入ってないんだとばっかり。
こんなに妊娠検査薬を見るのなんて初めてだから、説明文の文字一文字が新鮮でついついへぇ〜と感心してしまう。
「そーんなに気になるの?」
「うん」
「じゃあさ!記念って事で使ってみなよ〜」
そこに丁度あるし?と青葉はカフェ店内にあるトイレと書かれたプレートを指差した。