社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
拓斗さんと一緒に食べる時は失敗したのは勿論私が食べるけどね。
―――ガチャ―
そんな音が聞こえ私はくるりと踵を返す。
「お帰りなさい」
「あぁ」
「先にお風呂ですか?」
「いや、先に食べる」
拓斗さんが帰ってきたら、玄関までお出迎えをしたいのが私の本音。
だけど‘お互い面倒だろ’とまた言われてしまうのは嫌だからリビングでのお出迎え。
「どうぞ」
拓斗さんがお箸を持ち食べ始めそんな姿を見てから私も食べ始める。
テレビも着けずに黙々と、聞こえるのはお箸を動く音とお皿をテーブルに置く音だけ。
「優子」
だけど、今日は私に話しかけてくれた。